生命保険料控除が2026年分から最大6万円に|23歳未満の子がいる人の年末調整

年末調整の書類と電卓を広げた机のイメージ 税金・節税

2026年(令和8年)分の年末調整から、一般の生命保険料控除の上限が4万円から6万円に上がるのは、その年の12月31日時点で23歳未満の扶養親族がいる人だけです。

増えるのは3つある枠のうち「一般の生命保険料」の1枠だけで、介護医療保険料と個人年金保険料の上限4万円は変わりません。さらに3枠を合わせた合計の上限12万円も据え置きのため、すでに12万円まで使い切っている人は、上限が6万円になっても控除額は1円も増えません。以下は国税庁のタックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」(令和8年4月1日現在法令等)と、財務省が公表した令和7年度税制改正の大綱をもとに整理しています。

変わるのは「新契約の一般生命保険料」という1つの枠だけ

生命保険料控除は、一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料という3つの区分をそれぞれ計算し、合計する仕組みです。今回上限が引き上げられるのは、この3区分のうち一般の生命保険料だけです。

さらに条件が付きます。対象は平成24年(2012年)1月1日以後に契約した「新契約」に基づく新生命保険料です。平成23年12月31日以前に契約した旧契約の一般生命保険料は、従来どおり上限5万円の計算式のままで、引き上げの対象外です。

自分の契約がどちらかは、秋に届く控除証明書の「新制度」「旧制度」の表示で判別できます。1枚の証明書に新旧が併記されているケースもあるため、金額欄の上にどちらの表示があるかを確認してください。

「23歳未満の扶養親族」は12月31日時点で判定する

条件となるのは、居住者がその年の12月31日時点で23歳未満の扶養親族を有していることです。年の途中で23歳の誕生日を迎えた子どもは、12月31日時点で23歳になっているため対象になりません。

逆に、年の途中で生まれた子も、12月31日時点で扶養親族に該当していれば対象になります。ここは「年末時点のスナップショット」で判定する、という一点を押さえておけば迷いません。

なお、対象になるのは保険料を支払った本人が扶養親族を有している場合です。共働きで夫と妻がそれぞれ生命保険料を払っている家庭では、子を扶養親族にしている側だけが6万円枠を使えることになります。どちらが扶養に入れているかは、年末調整の「扶養控除等申告書」の記載で決まります。

通常の計算式と子育て世帯向けの計算式を並べて比較する

国税庁が示している新契約の控除額の計算式は、次のとおりです(金額はいずれも年間の支払保険料等=支払った金額から剰余金や割戻金を差し引いた残額)。

年間の新生命保険料 通常の控除額(上限4万円) 23歳未満の扶養親族がいる場合(上限6万円) 差額
20,000円 20,000円(全額) 20,000円(全額) 0円
30,000円 25,000円 30,000円(全額) 5,000円
60,000円 35,000円 45,000円 10,000円
80,000円 40,000円(上限) 50,000円 10,000円
120,000円 40,000円(上限) 60,000円(上限) 20,000円
150,000円 40,000円(上限) 60,000円(上限) 20,000円

計算式そのものは、通常版が「2万円以下は全額/2万円超4万円以下は×1/2+1万円/4万円超8万円以下は×1/4+2万円/8万円超は一律4万円」、子育て世帯版が「3万円以下は全額/3万円超6万円以下は×1/2+1万5千円/6万円超12万円以下は×1/4+3万円/12万円超は一律6万円」です。区切りの金額と定額部分が1.5倍になっている、と捉えると覚えやすくなります。

表から分かるとおり、月2万円近く(年24万円)払っていても、月1万円(年12万円)払っている人と控除額は同じ6万円です。保険料を増やしても控除は頭打ちになります。

合計12万円の枠が変わらないため、6万円が丸ごと乗らない人がいる

見落としやすいのがここです。国税庁の案内では、3区分の控除額を合計した金額が12万円を超える場合、生命保険料控除額は12万円とされています。この合計限度額は今回の改正でも変わりません。

つまり、介護医療保険料と個人年金保険料でそれぞれ上限4万円を使っている人は、残り枠が4万円しかありません。一般の生命保険料で6万円まで計算できても、合計12万円で頭を打つため、実際に増える控除はゼロになります。

加入状況(各枠の控除額) 2025年分までの合計 2026年分の計算上の合計 実際の控除額 増加分
一般4万円のみ 4万円 6万円 6万円 2万円
一般4万円+介護医療4万円 8万円 10万円 10万円 2万円
一般4万円+個人年金4万円 8万円 10万円 10万円 2万円
一般4万円+介護医療4万円+個人年金2万円 10万円 12万円 12万円 2万円
一般4万円+介護医療4万円+個人年金4万円 12万円 14万円 12万円 0円

3区分すべてを上限まで使っている家庭では、今回の改正による恩恵はありません。恩恵が大きいのは「一般の生命保険にしか入っていない」「医療保険や個人年金の保険料が少ない」世帯です。

増える税額の目安は年1,000円〜4,000円程度

控除額が2万円増えても、税金が2万円減るわけではありません。所得控除は課税所得を減らす仕組みなので、実際の減税額は「増えた控除額×その人の所得税率」で概算できます。

増えた控除額 × 所得税率 = 減る所得税額(概算)

国税庁が公表している所得税の税率区分にあてはめると、目安は次のようになります(復興特別所得税は含まず、控除が満額2万円増えた場合)。

課税される所得金額 所得税率 控除が2万円増えたときの減税額
195万円以下 5% 約1,000円
195万円超330万円以下 10% 約2,000円
330万円超695万円以下 20% 約4,000円
695万円超900万円以下 23% 約4,600円
900万円超1,800万円以下 33% 約6,600円

年に数千円という規模です。この改正を理由に保険料を増額しても、増える保険料のほうが減税額を上回るのが通常であり、「控除枠が増えたから保険に入る」という判断は割に合いません。すでに払っている保険料に対する控除が少し手厚くなる制度、と受け止めるのが実態に近い見方です。

年末調整で自分がやることは「申告書の該当欄を埋める」だけ

手続き自体は例年と大きく変わりません。勤務先から配られる「給与所得者の保険料控除申告書」に、控除証明書を見ながら保険会社名・保険の種類・新旧の区分・年間支払保険料を書き写し、証明書を添えて提出します。

2026年分については、23歳未満の扶養親族がいるかどうかを申告書上で示す必要があります。様式の細部は勤務先が使う年調ソフトや用紙によって異なるため、配布された申告書の記入欄と注記に従ってください。扶養親族の情報自体は「扶養控除等申告書」にも記載するので、両方の記載が食い違わないよう揃えておくと差し戻しを防げます。

控除証明書は、電子データ(電磁的記録印刷書面やXMLファイル)でも提出できます。国税庁はマイナポータル連携を使えば、控除証明書等のデータを年末調整申告書に自動入力できると案内しています。紙の証明書を探す手間を毎年くり返している人は、この連携を一度設定しておく選択肢があります。

証明書が届かない・なくしたときにまず取る3つの行動

控除証明書は毎年10月ごろから順次発送されます。11月に入っても届かない、あるいはなくしてしまった場合の動きは次のとおりです。

STEP1. 契約先の保険会社を特定する

通帳やクレジットカードの明細にある引き落とし名義を確認します。保険料の引き落としが止まっていると、そもそも証明書が発行されないこともあるため、支払状況も同時に確認しておきます。

STEP2. 会員ページか電話で再発行を依頼する

多くの保険会社が、契約者向けWebサービスから再発行を申し込めるようにしています。10月以降は自動音声での受付を設けている会社もあります。郵送の再発行は到着まで数日から1週間程度かかるため、勤務先の提出期限から逆算して早めに動きます。

STEP3. 期限に間に合わなければ確定申告に切り替える

年末調整に間に合わなくても控除が消えるわけではありません。翌年の確定申告で生命保険料控除を申告すれば、納めすぎた所得税は還付されます。国税庁も、確定申告で控除を受ける際は証明書を申告書に添付するか提示することとしています。

Q. 提出期限までに証明書が手元にありますか?

  • はい → 年末調整で申告する
  • いいえ、再発行が間に合いそう → 勤務先に事情を伝え、追加提出できるか確認する
  • いいえ、間に合わない → 翌年の確定申告で申告する

6万円をめぐって誤解されやすいポイント

「保険料を増やせば控除も増える」は正しくありません。 新制度の一般生命保険料は、23歳未満の扶養親族がいる場合でも年12万円を超えた分は控除額が一律6万円で止まります。年24万円払っても年12万円払っても、控除額は同じです。

「旧契約も6万円になる」も誤りです。 引き上げは新契約の新生命保険料に限られます。平成23年以前に契約した保険しか持っていない人は、今回の改正で控除額が変わりません。

「所得税と住民税の両方で6万円になる」とも限りません。 今回公表されているのは所得税の生命保険料控除に関する改正です。個人住民税の生命保険料控除は所得税とは別の計算式で、合計適用限度額も異なります。住民税側の取り扱いは、お住まいの自治体の公式案内で確認してください。

本記事のまとめ

  • 2026年(令和8年)分から一般の生命保険料控除の上限が6万円になるのは、12月31日時点で23歳未満の扶養親族がいる人の「新契約」分だけです。
  • 3区分を合わせた合計上限12万円は据え置きのため、介護医療・個人年金で枠を使い切っている人は控除額が増えません。
  • 増える控除は最大2万円、減税額の目安は所得税率5%で約1,000円、20%で約4,000円です。制度の内容は税制改正で変わり得るため、申告前に必ず国税庁公式サイトで最新の計算式を確認してください。

本記事は2026年9月時点の公式情報に基づきます。税制は毎年改正される可能性があるため、実際の申告・控除手続きの際は必ず国税庁公式サイト(https://www.nta.go.jp/)または税理士にご確認ください。本記事は一般的な制度解説を目的としており、個別の税務相談・税額算定の代行ではありません。

本記事は運営者情報に基づき、公的情報をもとに編集しました。

本記事の出典・参考資料

  • 国税庁「No.1140 生命保険料控除」(令和8年4月1日現在法令等) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
  • 財務省「令和7年度税制改正の大綱」 — https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/07taikou_01.htm
  • 国税庁「No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1141.htm
  • 国税庁「控除証明書等の電子的交付について」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei/koujyo.htm
  • 国税庁「マイナポータルと連携した年末調整手続」 — https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/mnp_junbi/nenmatsu.htm
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よくある質問と答え

Q. 生命保険料控除が6万円になるのは誰ですか?

A. その年の12月31日時点で23歳未満の扶養親族がいる人です。対象は平成24年以降に契約した「新生命保険料」の枠だけです。

Q. 上限が6万円になれば控除の合計も14万円になりますか?

A. なりません。3区分を合わせた生命保険料控除の合計は、国税庁の案内どおり12万円が上限のまま据え置きです。

Q. 平成23年以前に契約した保険も6万円の対象ですか?

A. 対象外です。旧契約の一般生命保険料は従来どおり上限5万円の計算式が使われます。

Q. 控除証明書が届かないときはどうすればよいですか?

A. 契約先の保険会社に再発行を依頼します。多くの会社が10月以降、Webの会員ページや自動音声で再発行を受け付けています。

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